【高校生向け】「フィードバック」って何?

東進の先生が大切にしている“伝え方”と“受け止め方”

――『フィードバック入門』(中原淳)を読んで感じたこと――

最近、東進の先生たちと話していて感じるのは、どの先生も「どう伝えるか」をとても大事にしているということです。

この『増補改訂版 フィードバック入門』(中原淳著)を読んで、その理由がよく分かりました。


◆ フィードバックとは「相手を変える言葉」ではない

本書には、こう書かれています。

フィードバックとは「情報通知」と「立て直し」を通して、相手の成長を支援する育成技術である 。

つまり、「注意する」ことでも「褒める」ことでもなく、**“相手が自分で気づいて変わるためのきっかけを与えること”**が本質なのです。

東進の先生が、ただ「もっと頑張れ」と言うのではなく、

「〇〇の模試で、ケアレスミスが多かったね。どんなときに起こっていたと思う?」

と具体的に聞くのは、まさにこのフィードバックの考え方に近いです。


◆ 経験と人との関わりが成長をつくる

中原先生は、成長には「経験軸」と「ピープル軸」があると述べています 。

  • 経験軸:少し背伸びした挑戦(=ストレッチ経験)を通して学ぶ
  • ピープル軸:周りの人との関わりから学ぶ

私はここを読んで、「東進の学び方」そのものだと感じました。

講座を受けるだけでなく、**“先生との面談”や“仲間との切磋琢磨”**があるからこそ伸びる。

つまり、経験と人が両方そろって、初めて学びが本物になるのです。


◆ フィードバックは“事前準備”が9割

本書では「フィードバックは準備から始まる」とあります 。

そのときに大切なのが「SBI情報」。

  • S(Situation):どんな場面で
  • B(Behavior):どんな行動をして
  • I(Impact):その結果どうなったか

先生が面談で「模試の結果が下がったね」で終わらせず、「最近は家での勉強時間が減っていたけど、理由は何だった?」と聞くのは、このSBIの考え方そのものです。

**“事実を鏡のように映す”**ことが大切。感情ではなく、行動の事実を一緒に見つめ直す。これが本当のサポートです。


◆ フィードバックを受け取る力も「成長力」

私がこの本を読んで一番感じたのは、「フィードバックは受け取る側の力も問われる」ということです。

耳が痛いことを言われたとき、つい反発したくなりますよね。

でも本書では、こう指摘しています。

人を変えるには「手間暇」をかけ、あの手この手を尽くさなければならない 。

先生たちが本気で言葉をかけてくれるのは、皆さんに変わってほしいからです。

「自分のことを真剣に考えてくれている」と受け止めることが、成長の第一歩になります。


◆ 「褒める」も立派なフィードバック

本書の後半では、ポジティブフィードバックの重要性が強調されています 。

「良いところを見つけて具体的に伝える」ことが、人のやる気を引き出す最強の方法です。

たとえば東進の先生が「最近、毎日登校してるね。継続できるのがすごいよ!」と言うのも、

ただの褒め言葉ではなく、“努力を客観的に見てくれている”というメッセージ。

これが生徒の信頼を生み、次の行動を支えるのです。


◆ まとめ:フィードバックで自分も他人も伸ばそう

この本を読んで改めて感じたのは、東進の先生たちの指導の根底にあるのは「信頼」と「成長支援」だということ。

そして生徒の皆さんには、その言葉を“評価”ではなく“成長のヒント”として受け取ってほしいと思います。

私自身も、先生として生徒に言葉をかけるとき、

「今この言葉は“注意”ではなく、“気づきのきっかけ”になっているか?」

と自問するようになりました。

皆さんも、先生からのアドバイスを“鏡”として自分を見つめ、前に進んでいってください。


✍️ 引用・参考文献

中原淳『増補改訂版 フィードバック入門 部下が成果を出すための最も効果が高い育成の技術』

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