【高校生向け】「終わらない勉強」を終わらせる技術


― 山﨑先生が読んだ『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』より ―
最近読んだ本に、中島聡さんの『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか ― スピードは最強の武器である』があります。
読んでいて何度も「これ、まさに受験勉強も同じだな」と感じました。
◆ 「終わらない人」には共通点がある
著者は、仕事が終わらない人には2つのタイプがあると言います。
「締め切り間際に一気にやろうとする“ラストスパート志向”の人と、途中で欲張って手を広げすぎる人」
これは受験勉強にも当てはまります。
「模試の前日だけ詰め込むタイプ」と、「完璧を目指しすぎて終わらないタイプ」。
どちらも“終わらない”原因は同じ――時間の使い方を誤っているということです。
◆ 勉強も“スラック”が大事
著者は、時間に「スラック(余裕)」を持つことの大切さを強調しています。
「スラックとは、心理的な余裕のこと。スラックがない状態では生産性は落ち、ミスも増える」
これは、テスト前に焦って詰め込む生徒を見ていてもよく分かります。
余裕がないと、覚えた内容が整理されず、結果的に「やったのに取れない」ということが起こる。
だから、勉強にも“スラック”が必要です。
たとえば、定期テスト1週間前に「見直し期間」をつくる。
共通テスト本番の1か月前に“全体を振り返る時間”を入れる。
こうした余裕が、結果的にスピードを上げることにつながります。
◆ 「ロケットスタート時間術」で一気に進める
中島さんは、仕事を早く終わらせるための方法として「ロケットスタート時間術」を紹介しています。
「指定された期間の最初の2割を使って全力で取り組み、全体にかかる時間を把握する。スタートダッシュで8割を仕上げて余裕を生み出す」
これは勉強にも応用できます。
たとえば「10日で物理の範囲を終わらせる」と決めたら、最初の2日で全体を一通り解いてみる。
すると「この部分は時間がかかるな」「ここはすぐ終わるな」と、自分の得意・不得意が見えてくる。
残りの8日間は、ペース配分が分かっているからこそ、安心して復習に集中できるのです。
◆ 「プロトタイプ勉強法」で完璧主義を脱出
著者は、マイクロソフト時代の経験から、こう語っています。
「Windows95の開発では、3500個のバグを残したまま発売した。まずは“全体を動かす”ことを優先し、後から修正していく」
これも、勉強そのものに通じます。
完璧に理解してから次に進もうとすると、全体像がいつまでたっても見えません。
まずは“試作品”のように、ざっくり全範囲を回してみる。
そのうえで、時間をかけて細部を修正していけばいいのです。
東進の講座でも「講座→高速基礎マスター→修了判定テスト→再演習」と段階を踏むのは、まさにこの考え方です。
◆ 「仕事」と「勉強」は同じスキルで動く
本書のメッセージを一言で言うなら、**“スピードは思考の武器”**ということ。
スピードとは「急ぐこと」ではなく、「早く全体を見て修正できる力」です。
社会に出ても、締め切りや納期のある仕事は山ほどあります。
そこで成果を出す人は、決して“ギリギリまでやる人”ではありません。
最初に動き出し、全体を把握し、修正を重ねて完成度を上げていく人です。
これは受験勉強でもまったく同じ。
早く始めて早く失敗する人ほど、最後に強くなります。
◆ 山﨑先生からのメッセージ
この本を読んで感じたのは、勉強も仕事も「段取りの技術」で決まるということです。
模試の直前に焦っても、結果は変わりません。
だからこそ、早く動いて“スラック”をつくる。
そして最初に全体を回して“プロトタイプ”を作る。
それが、成功する人の共通点です。
東進の授業でも、「ロケットスタート」で進める生徒は伸びが早いです。
まずは全力でスタートしよう。
そのあとでいくらでも修正すればいい。
勉強も、将来の仕事も、スピードと余裕のバランスを意識することが何よりの武器になります。
📘 参考文献
中島聡『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか ― スピードは最強の武器である』


